備前福岡の市

備前福岡の市
について

開催概要

備前福岡の市
毎月 第4日曜日
8:00〜11:00

備前福岡の市は、毎月第4日曜日に長船町福岡で定期開催する
地元生産者との交流が楽しめる朝市です。

開催場所:岡山県瀬戸内市長船町福岡(一文字うどん北側広場)
駐車場:一文字うどん、および妙興寺北隣など

備前福岡の歴史

備前福岡のつくり手たちによって、
中世「福岡の市」が蘇る

備前福岡は国宝『一遍聖絵』(1299年完成)の中に「福岡の市」が立つ場所として描かれ、歴史教科書にも紹介されています。鎌倉時代に定期市として始まった中世「福岡の市」は常設市へと発展し、室町時代の備前福岡は山陽道で最大級の商都として栄えました。その繁栄ぶりは、関ヶ原で戦功のあった黒田長政が筑前52万石の大名として築城の際、先祖が暮らした備前福岡にちなみ、福岡城と名付けたことにも現れています。また、備前福岡の商人たちは岡山の一大商店街「表町」の基礎を築くなど、各方面に足跡を残しています。

およそ700年の時を経た2006年3月、現代版「備前福岡の市」が産声を上げました。福岡の市史跡碑に隣接する竹藪を地元住民が切り開き、近隣の農業者・商工業者10数組が出店した手作りの市でした。その後、毎月第4日曜日開催の定期市となり、現在に至っています。4月と11月には「備前福岡の大市」として、中世に常設市があった備前福岡の大通り「市場小路」で地域を挙げて盛大に開催されます。

私たちの想い

食べることから繋がる
農業と地域社会

700余年ぶりに蘇った「備前福岡の市」は、地域で育てたものを地域で食する「地育地食」の拠点となりつつあります。私たちは食べることで生命を維持し、日々の暮らしを営んでいます。「食」は「人を良くする」と書くように、食べものをどう選ぶかは、生き方そのものと言えるでしょう。
けれども、食の多様化や忙しい日常の中、食にかける手間暇は減り、価格優先のもの選びになりがちなのではないでしょうか。生活習慣病やアレルギーの増加、医療費の増大、農業や地域社会の衰退など今日の社会問題の多くが、実は食と強く関連しています。
顔の見える関係で繋がる農と食を通した地域社会の中に、解決策があると私達は考えています。地元の生産者がどのように農水産物を育て、そしてそれらをどう加工・調理しているかを知ることは、表示だけではわからない背景が見え、安心・信頼に繋がります。顔見知りの生産者が増えれば、地域とのつながりや愛着も深まるでしょう。そして、継続的に商品を購入することが生産者を応援し、地域社会の経済を盛り上げることになるのです。

出会いの場としての
備前福岡の市

2006年3月より毎月第4日曜日定期市として開催している「備前福岡の市」は、消費者と生産者を繋ぐ「出会いの場」を目指しています。毎回30店近くの出店者が並び、来客者とゆったりふれあう距離感の近さが魅力です。
「対面」「体験」「学び」—— これが私達の合言葉です。

対 面

市の出店者は、すべて地元を中心とした生産者・加工業者・工芸家の直売です。作り手だから分かる情報(調理方法、育て方など)を、対話を通じてお伝えできます。

体 験

備前福岡の市では、毎月、出店者が順番に体験教室を開催しています。プロの技を家庭でも活用していただけるようお教えします。(2021年4月現在、感染症防止のため、体験教室を中止しています)

学 び

毎月の市の開催日には、備前福岡の町並み見学会を開催しています。ガイドと一緒に町歩きを楽しみながら、かつて生活用水として利用されていた「七つ井戸」や、国指定登録有形文化財「仲﨑邸」、備前福岡郷土館での国宝『一遍聖絵』デジタルミュージアムを巡り、中世の商都の歴史文化に関して学ぶことができます。
市場小路に面した「大河内邸DOMAギャラリー」では、吉井川での採取品や作品を展示。「備前福岡の市」開催日の8:00~11:00の間、自由に観覧することができます。

また備前福岡の市では、地域の歴史・文化の学びにとどまらず、生産者による農業体験なども開催しています。

メッセージ

中世の頃の備前福岡は人口5,000から10,000人といわれ、山陽道第一級の商都として賑わっていました。その中心となったのは、当時一世風靡した刀剣の製造販売を担った豪商たちです。当時の福岡の市は、南北の吉井川の水運と東西の山陽道の陸運の結節点として、物流の一大拠点として商都を支えていました。

あれから七百数十年。再開した市は、2021年に15年目、開催回数としては2021年4月に182回を数えました。現在の市の担い手は豪商ではありません。しかし、地産地消、地育地食の担い手として、また手仕事・小商いの担い手として、自負を持って取り組んでいます。 「昔は賑わっていた」とは地方でよく聞く声です。では、今を生きるあなたは、どうしているのですか。「商都備前福岡の賑わいを再び」。これが私たちの目指しているものです。

現在、備前福岡の市の出店者は日々研鑽し、毎月第4日曜日に市を立てます。並んでいる商品は生産者直売の自慢の品々。それを目当てに、地域内外からお客さんが集まり、「対面・体験・学び」の場として、かつての賑わいを彷彿させます。

月一回の出来事ですが、一過性ではありません。定期市として積み重ねる中で、地域の価値を高め、地域の持続的発展につながるものと信じています。
中世の福岡の市は、歴史教科書にも載っています。私たちは、100年続く現代福岡の市を目指しています。100年続けば歴史に残るでしょう。だから今、私たちは歴史に名を刻みつつあるのです。

福岡の市の折り返し地点は、はるか彼方です。

備前福岡の市出店者会会長 大倉秀千代